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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《電気風呂の怪死事件(でんきぶろのかいしじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 頁
赤羽主任は屹となって、共に天井の血の穴を見上げたが、刑事の叫びを聞くより、
「うむ、人が死んでいたろう? 男か女か?」
「男です! しかも裸体です。どうも由蔵らしいと思われますが、足裏が白く爛れていました」
「よしッ! 直ぐ行こう、案内をたのむ!」
と、赤羽主任は、真先に立って裏口へ行こうとしたが、何事かに気がついたと見えて再び身を振り返って云った。
「だが、この女の身元だ。女の着衣を調べて見よう!」
赤羽主任は、あちこちに転っている桶類を跨いで女湯の脱衣場へ行くなり、乱雑に散らばっていた、衣類籠をひとつひとつ探してみた。が、目指す女の着衣も誰の着衣も、一向に見当らない。
「おい、女の着衣が見えないぞ、箱を探して呉れ」
刑事達は、箱の扉を片っ端から開いてみた。が、どの箱にもそれは見当らなかった。殺されている女湯の客の着衣が見当らないなんて、そんなおかしい訳はある筈がないと、一同は一様に不審の面を見合せた。もしや先刻の混雑に紛れて、誰かがその女の着物を掠めたとしても、足袋一足、湯文字一枚も残さぬという筈はなかった。
「じゃあ、下駄はどうだ?」
赤羽主任は躍起となって、番台横の三和土を覗いてみたが、その下駄も片方すら見当らないではないか?