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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《電気風呂の怪死事件(でんきぶろのかいしじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 頁
「危い! 待った待った。感電らしい。飛び込んだら、今度は君達がやられちまうぜ!」
「あッ、然うだった。危い危い! しかし此儘見殺しが出来るもんじゃない。何とか、おい番頭さん、何とかしなければ――」
「電気の元を切るんだ。おい番頭君、早く電流を断つんだよ!」
学生風の男に云われて、由蔵は漸くあたふたと釜場へ通う引戸を押して奥の方へ姿を消した。
バタバタと板の間を走る足音。カタコトと桶の転がる音など――女湯の客が、何か異常を知って狼狽しているらしいけはいだった。やがて間もなく、真蒼になった女房が番台から裾を乱して飛び降りて来るなり、由蔵の駆けて入った釜場の扉口で甲高い叫びを発した。
「大変です。お前さん、大変ですよお!」
続いて太い男の声で、
「電気を切ったぞお!」
と、再び由蔵が流し場へ戻って来た。
「さあ、電気は切りました」
「大丈夫だな。じゃ、早く――」
学生上りが、いらいらと促すのを、臆病そうに老人が尻込みした。
「ええッ焦れってえ、もう大丈夫だというのになあ。そおれ!」
と、職人風の一人が、見るに耐えかねたといったかたちで、さっと勢い込んで両手を湯槽に入れた時、ドヤドヤと向井湯の主人や、下足の小供、脱衣場の番人のお鶴などが駆けつけて来た。