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れいかん

霊感

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《霊感(れいかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,268 字 · 31 頁

青空文庫

女将さんは溜息をつきました。

「どうしましょう。」

A女はためらわず言いました。

「いえ、もう場所はきまっております。」

こんどはA女が案内する番になって、一同は玄関から表へ出ました。

A女は寒竹の茂みのあたりを指し示しました。

「ここがお宜しいかと存じます。」

「女将さん。」女中頭が言いました。「わたしもそう申しておりましたでしょう。」

女将さんは頷きました。

事がきまりますと、A女はその足で辞し去ることにしました。お午の食事の支度が出来てるからと、女将さんと女中頭はしきりに引き止めましたが、A女は鄭重に辞退しました。

表の街路に出ると、小泉さんはA女を仰ぎ見るようにしました。

「まったく、あなたには感心しましたわ。」

A女はかるく含み笑いをしました。

「あんなの、なんでもないことですよ。」

それよりも、あとにまた別なことが出来てきました。

場所がきまったとなると、松しまの女将さんは、一日も猶予せず、稲荷さんの祠の建設に取りかかりました。それには先ず、地ならしをして、地所の浄めをしなければなりません。その地所の浄めを、A女にしてほしいと言い出しました。A女の住所は内密にしてありましたので、またもわざわざ、小泉さんのところへ女中が使に来ました。