輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

せいねん

青年

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《青年(せいねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 頁

青空文庫

それをせぬ間、向うで控えているのは、あの奥さんのつつましい、frivole でないのを証拠立てているのではあるまいか。それともわざと縦って置いて、却って確実に、擒にしようとする手管かも知れない。若しそうなら、その手管がどうやら己の上に功を奏して来そうにも感ぜられる。遠慮深い人でないということは、もう経験していると云っても好い。どうしても器を傾けて飲ませずに、渇したときの一滴に咽を霑させる手段に違いない。純一はこんな事を思っているうちに、空想は次第に放縦になって来るのである。

この時飛石を踏む静かな音がした。

「いらっしって」女の声である。

純一ははっと思った。ちゃんと机の前に据わっているのだから、誰に障子を開けられても好いのであるが、思っていた事を気が咎めて、慌てて居住まいを直さなくてはならないように感じた。

「どなたです」と云って、内から障子を開けた。

にっこり笑って立っているのはお雪さんである。きょうは廂髪の末を、三組のお下げにしている。長い、たっぷりある髪を編まれるだけ編んで、その尖の処に例のクリイム色のリボンを掛けている。黄いろい縞の銘撰の着物が、いつかじゅう着ていたのと、同じか違うか、純一には鑒別が出来ない。