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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 頁
そしてまた些かの未練も残さずに中途で退学してしまった。つまるところは、「光輝あるわが校の伝統を軽蔑している」ことになったのである。しかし、それにしてもある教授のように、「毛利豹一はおれを莫迦にしている」とむきになるのはいうならば余りに豹一的で、つまり些か大人気ないことではなかろうか。豹一はただ慇懃な態度が欠けていたのだ。他人に媚びることをいさぎよしとしない精神が、彼を人一倍、不遜に見せただけのことである。
ところが、銀行や商事会社なら知らず、新聞社では慇懃な態度はあまり必要とされないのである。少くとも外勤の社会部の記者には必要ではない。もっとも、社内にあって良い地位を虎視眈眈とねらっている連中ならば、たとえば編輯長の前ではあくまで慇懃であってもらいたいものだが、しかし先ず新参の見習記者には用のない話だ。面会に来て、どんな頭の下げ方をするだろうかなど、編輯長の頭には全然なかった。
「えらい威勢の良い奴ちゃな」――でも構わなかったのである。それどころか、新聞記者には威勢の良いのは、うってつけである。苛々と敏感に動く豹一の眼を見て、編輯長は、(こいつは鋭いところがあるぞ)と、すっかり気に入った。