輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 頁
ところが運良く合格した。つまり難なく中学生になったのである。すると、改めて坐尿のことが苦しくなって来た。入学式の時、誰かあのことを知っているだろうかと、うかがう眼付きになった。試験の時だったからお互いに未だ顔を見知っていなかったが、一人二人素早く見覚えていた奴はあるに違いないと思った。その時の監督の教師は国語を担当していて、豹一の教室へも一週間に四度やって来た。そのたびに、豹一は身を縮めて、ばらされやしないかと冷やひやしていたのである。
もう一つ、こんなことがあった。同級生間で、誰がどんな家に住んでいるか見届けようと、放課後探偵気取りで尾行することが流行した。ある日、豹一にも順番が廻って来た。家の構えはともかく、高利貸の商売をしているのを知られるのがいやで、尾行られたと気付くと、蒼くなって曲り角からどんどん逃げた。家へ駈け込むとき、軒先へ傘を置き忘れた。果して、
「毛利君! 毛利君! 出て来い」表で呶鳴る声が聴えた。豹一は二階で犯人のように小さく息をこらしていた。顔を両手の中に埋め、眼を閉じていた。表札が「野瀬」となっていることも辛かった。
そんなことがあって見れば、箔をつける必要も充分あった。