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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《顎十郎捕物帳(あごじゅうろうとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,061 字 · 22 頁

青空文庫

……いかにもあなたのおっしゃる通り、そんな馬鹿げたことで蛇が消えてなくなるなんてわけはない。すると……」

と言いかけて、又右衛門に、

「金井の叔父。……その蛇よけの呪文というのを、いったい、誰から教わりました」

「さっき言った覚念坊というのが……」

顎十郎は手をうって、

「こいつは、いい、覚念坊というやつは、よっぽど洒落れた坊主だと見えるの。……とんだ野幇間だ」

ひょろ松は、釣りこまれてニヤリと笑ったが、すぐ真顔になって、

「そんな輩のすることだから、ムキになって腹を立てて見たって始まらないが、そんな出鱈目をひとに教えてすましているようなやつだから、眷族を呪文縛りにして一匹ずつ袂へ入れて帰るなんてえのも、どうせ、なにか、ふざけたことなんでしょう」

又右衛門は、途方に暮れたような顔つきで、

「なるほど、そう聞けば、いかにももっともだが、しかし……」

ひょろ松は、手でおさえて、

「まア、お聞きなさい。……たぶん、自分で夜具の裾へ蛇を忍びこませておいて、もったいぶって呼びよせるように真似をするぐらいが落ち。こりゃア、ずいぶんありそうな話だ。……それはそうと、ねえ、阿古十郎さん、ありもしないことを、口から出まかせにしゃべくってこっちを威しあげ、お布施でもたんまりせしめようという魂胆でしょうが、それにしては、すこしやり方があくど