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ふうせんだまのはなし
風船球の話
小川 未明
線上閱讀小川 未明《風船球の話(ふうせんだまのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,988 字 · 6 頁
」と、風船球と糸とは、相談をきめてしまい、やがて、紫色の風船球は、長い白い糸をしりにぶらさげながら、窓から飛び出して、空へ空へと上ってゆきました。
お嬢さんは、へやへはいると、たんすの環に結んでおいた、風船球がなかったのでびっくりしました。これは、いたずらな弟が、どこへか持っていったか、飛ばしてしまったのだと思って、弟に向かって小言をいいますと、坊ちゃんは、そんなものを僕は知らないといって、かえって姉さんにくってかかったのであります。
「それは、きっと糸がひとりでにほどけて、飛んでいったのかもしれないから、もう一つ買っておいでなさい。そんなことでけんかをしてはいけません。」
と、お母さんはいわれたのでした。
飛んでいった風船球は、思いきり高く上がりました。いつか、自分の体は、雲の上に乗るだろうと思って、喜んだのであります。はじめて、こんなに高く空へ上がった風船球は、どこが町だやら、港だやら、その方角がわかりませんので、ただ、あてもなく飛んでいました。
「そのうちに、自分は、きっとおもしろいところへ出られるにちがいない。」と思っていました。しかし、だんだん疲れてきたのか、体がしぜんに降りてくるような気がしたので、どうしたのだろうと風船球は、不思議でなりませんでした。