輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

うえはさいぜんのソースか

飢えは最善のソースか

石川 欣一

線上閱讀石川 欣一《飢えは最善のソースか(うえはさいぜんのソースか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,579 字 · 6 頁

青空文庫

これは飢えプラス寒さプラス仕事を終った満足感である。

大正十二年の大震災の時には大阪にいたが、生れ故郷が東京なのですぐ行けと命令され、中央線廻りで上京した。その途中笹子のあたりで山津波があり、汽車が半分埋まってしまった。その泥の流れのなかを歩いてぬけて、ちょっとした高台にある村にたどりつき、一軒の飲み屋で酒を所望すると、ぜんまいを一緒に出した。もちろん干したぜんまいをもどし、煮干しで味をつけた物だが、その煮干しのガサガサした歯ざわりさえ憶えているのだから、相当感銘したに違いない。この場合は飢えプラス山津波を逃れた安心感だろう。親子丼、テンプラそば、ぜんまいと、実にありふれた食物だが、飢えプラス何物かが最上のソースになったのである。

私が冒頭で「相当の真理」といったのはこれなのである。つまり飢え単独では腹がはった満足はあっても、決して「うまい」とは感じない。

*

私が若い頃登った山には、番人のいる小舎が極めてすくなく、大体水に近い場所にテントを張り、飯をたいて食事をしたものである。食物としては米、味噌が主で、味噌の実にはそこらに生えている植物をつかった。