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くびちょうだい

首頂戴

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《首頂戴(くびちょうだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,756 字 · 20 頁

青空文庫

「それではせめて紋服なりと、刀でお突きなさりませ」

「そうさなあ、紋服をお出し」

立ち上がった女箱を取ると、ポンとばかりに箱の蓋をあけた。

差し延ばした乞食の手につれて、現れたのは一襲の紋服。

スラリ刀を引き抜いて、グッとばかりに突くかと思ったら、刀も抜かず突きもせず、紋服をヒラリと着たものである。

「どんなように見える? 似合うかな?」

「ちっともお似合い致しません」

「そうだろうとも然うだろうとも、矢っ張り町奉行の品格がないと、町奉行の衣裳は似合わないと見える」

「お脱ぎなさりませ、そんな衣裳」

「うむ」というと脱ぎすててしまった。

「お怨みなさりませ一刀」

「馬鹿をおいい」と笑い出した。「予譲にまでは成り下がらないよ」

菜の花の匂いが匂って来た。遠くで犬の吠声がする。草の間からスルスルと、小蛇が一匹這い出して来た。啓蟄の季節が来たのだろう。土手の向う側へ隠れてしまった。

「これから何んとなされます?」

「そうよなァ、泥棒になろう」

女、さすがに沈黙した。

「どうだな?」と乞食微笑した。「怖いかな? お前は厭か?」

「花魁から乞食、乞食から泥棒、その辺がオチでございましょう」