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たかおざんげ
高尾ざんげ
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《高尾ざんげ(たかおざんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,252 字 · 21 頁
そこへまた、熱海で堅気になってる梅葉姐さんから、熱海へ戻って来ないかと熱心な勧誘がありました。――東京の焼け残りの狭い家に、幾人ものひとたちと同居してるよりは、熱海の静かな家に住んだ方がよかろうということ、どうせ花柳界はまた閉鎖になる運命にあるらしいこと、熱海には今のところ、長唄と踊りの適当な師匠がないので、菊千代が来てくれれば、皆が喜ぶだろうし、長唄を教え踊りの手ほどきなどして、充分に生活も出来るだろうということ……。梅葉姐さんは東京まで出て来て菊千代に説きました。
「あの、先生とのことも聞きましたよ。だけど、末長く続くものでもありますまい。それとも、別れられないというのなら、熱海にいても、逢えるではありませんか。芸者稼業なんかより、遊芸の師匠の方がりっぱでよくはありませんか。田舎のお母さんや兄さんたちも、その方を喜んで下さるに違いありませんよ。」
菊千代は長い間うつむいていましたが、やがてきっぱりと眼を挙げて答えました。
「よく分ったわ。もうちょっと、考えさしてね。」
然し、考えることなどありませんでした。ただ気持ちの問題だけでした。眼をつぶって二階から飛びおりたようなあの気持ち、それをどうすればよいのでしょう。