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まぞう
魔像
林 不忘
線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁
「麹町平河町の町医長庵めにござりまする」
「何と? 長庵が参った。きゃつまた、何ぞ悪だくみをしおって、このわしに、一泡ふかせようの魂胆でがなあろう。ウフフ、誰がその手に乗るものか。ドレ、ひとつ見てやれ」
お城へ出ては万年平番士だが、それでも二千石のお旗本、玄蕃、家では相当に威張っている。
綱まきの刀をその儘にして、源伍兵衛をしりへに、肥り気味の身体を玄関へ運んだ。
「おう、長庵か。よく来た。ちょうど羽衣を唸ってナ、相手のほしかったところである。上れ」
敷台に立ちはだかって戸外へ呶鳴った玄蕃、三ッ引の紋を置いた黒羽二重を着流し、茶博多を下目に結んで、大柄な赭黒い顔と言い、身体がたっぷりしてるから、なかなかどうして、貫禄のある立派な殿様ぶりだ。
五
長庵は、口もきけない様子。宗匠頭巾を片手に握り締めて、しきりに坊主頭を振り立てながら、懸命に手招ぎする恰好が、どうも尋常でない。まんざらいつもの悪ふざけとも思えないから、不審を打った大迫玄蕃が、
「何だ、そこまで出て来いというのか。何だ一体」
渋々履物を突っかけて玄関を出た。見ると、屋敷の者が四、五人、手に手に提灯を持って、ポカンと口を開け、ひどく感心したように玄関の戸の表側を見上げている。