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まぞう
魔像
林 不忘
線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁
おのれッ! 一度わが目前に現われてみよ……!
昂奮した山城守が、こう心中に怒声を揚げた時、その心語に応ずるかのように、眼前に人影が立った。ぎょッとして顔を上げると、気に入りの小姓一弥だ。いつの間にか、庭を横ぎって来ていたのだ。長者町の筆屋幸兵衛から、息子幸吉が使いに来て、何やらすぐお眼に掛けるようにと、つかい物を置いて行ったという。
「そんなにせんでも好えに。気の毒じゃナ」山城守は、機嫌を直した。「して、幸吉はもう帰ったのだな。その品物はどこにある」
「御書院に持参致してござりまする」
「うム。すぐ見る」
先に立って縁から上った山城守は、ずッと書院へ通って、足で座蒲団を直して坐った。その座前に、こんもりした萌黄の風呂敷包が、恭しく供えてあるのだ。
左手を懐中に、グッと反り気味に右手を伸ばした山城守が、パラリ、パラリ、前後左右に撥ねるように風呂敷を解いてゆくと、箱が出て来た。木の箱だ。蓋がしてあった。軽く蓋を持上げて内容を一瞥した。と! ガッパと蓋を叩き置いて、
「むッ!」
おめいたのだ。同時に、
「筆屋ッ! 筆屋の者を呼べッ! コ、これは、猪股――ッ!」
起ちかけた。