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まぞう
魔像
林 不忘
線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁
なア、刀ってものは、叩いて斬れるもんじゃアねえ。押して斬る。引いて斬る。さアッ! とこう、押す、引く、ここの呼吸で斬るんだ。べらぼうめ、一つ斬って見せるから、踏みこんで来いッ!」
いまは主人のない屋敷の反対側の大広間で、他の番士一統と源助町の同勢を一手に引き受けているのが、喧嘩の先生、茨右近……観化流の定法。一天無蓋の大上段に振りかぶったまま、喧嘩師右近、さすがに場数を踏んでいるから呑気なものだ。
ひょうひょうした調子で講釈をしながら、
「何でエ! 雛の節句の内裏様や五人囃じゃアあるめエし、並んでじっとしていねえで、飛び込んで来たらどうだ。ヤイ、てめえ、眼の色が変っているぞ。それから、そっちのお方、失礼だが、汗が眼へはいりかけてらあ、拭きな、ふきな。その間はいかねえから、ユックリ汗を拭きなってことよ」
実に嘲弄し切ったもので、しかも、右近の足は、さっき殺ったのか、真赤に染まって四肢や顔が青絵具のような青い屍骸をひとつ、踏まえているのだ。見ると、日向一学である。何番首、そんなことはどうでもいい。
一同はこの右近を喬之助とばかり思いこんで、何しろ、室内に犇めき合っているのだから、こうなると、多勢のほうが不利である。