輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

まぞう

魔像

林 不忘

線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁

青空文庫

「今晩は」

今夜はいやに妙な人間が飛びこんでくる晩だと思いながら、相手がばかに慣れなれしいから、お絃も、何か喧嘩出入りのことであろう。それなら、喧嘩渡世であってみれば大事なお客さまだと、にっこりして、

「いらっしゃい。喧嘩? うちの人は居ませんよ」

戸塚の三次は、何も言わずにズイとはいりこんで、パラリ、手拭を取りながら、そいつを肩へ載っけて、じろりとお妙を見た。

ちょいと凄味を見せようというつもりらしい。勝手に上り框へ腰を下ろして、精ぜい苦味走って控えながら、

「仁儀てえところだが、まま御めんなせえよ――ところで、姐御、れこは居ねエッてったね?」

三次は、拇指を出して見せた。変なやつだと思いながら、お絃がヒョイとお妙を見ると、悪者と言ったのは此男のことなのだろうとすぐ気がついたほど、お妙は、真青になって、木の葉が風に吹かれるようにふるえているのだ。

知らずのお絃は、素早く客の正体を掴んで一時に強く出た。

「うちの人はいないけど、お前さんなんかに舐められアしないよ。何の用だい」

「何の用? テッ! 何の用もかんの用もあるけえ」お絃のかげに隠れるように、土間の隅に小さくなっているお妙へ顎をしゃくって、「これア何家の娘だ、何家の。