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まぞう
魔像
林 不忘
線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁
はッ、と今の今までがやがやしていた連中が慌てて平伏すると、やがて、しいッ、しッ! と警蹕を掛けながら、二人のお小姓が御用箱を目八分に捧げて先に立つ。その後から、第一番に松平越中守、久世大和守、松平周防守、牧野備中守、岩城播磨守、それにお側御用御取次水野出羽守の以上六名が、いずれも一人一役のお歴々である。松平越中守は青竹を削いだような顔に鋭い微笑を浮かべて、久世大和守は例によって太い眉毛をぴくぴくさせて、でっぷり肥った牧野備中守は上眼使いに顎を引いて、小男の岩城播磨守は猪首に口をへの字に曲げて、長身、痩躯、白皙、胡麻塩、各人各様の一癖ありげな面だましいだ。左右の肩衣を一斉に振って、のっさのっさと長袴の裾を捌き、磨き抜いた板廊を雁のように一列になって退って来る。
何か頬を上気させた水野出羽守は、いつもと同じせかせかした歩調で殿である。
二
続いて、廊下のむこうから、また声がする。若年寄お退り! というのだ。
これで、そろそろ頭を上げかけていた御書院番の連中は、いそいでまたもや畳を舐めんばかりに這いつくばる。そこへ、いま言った若年寄であろう。