輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,957 字 · 114 頁
そしてその山見廻りは、麻植、板野の里あたりの原士が交代で詰めることになっている。
甲賀世阿弥。
今――このつるぎ山の奥に、めッたにない人語を聞いたので、吾を忘れて、瘤山の柵ぎわまで駈け下りたが、別に、なんぞこれという目的があったのではない。ただ、その人影へ本能的に引きよせられたまでのこと。
ちょうど身の丈ぐらいな這松やつつじが、うまく体を蔽い隠したので、そのままジッと、柵の外を眺めていると、さっき倶利伽羅坂の上にみえた二人が、依然と、はばかりない高声で話しながら、すぐ流れの向うへまできて、爼板岩の端へ腰を下ろした。
「啓之助、啓之助」
まるで、家来でも呼びつけるように、またそこでこういったのは、蜂須賀家の永居候、竹屋三位卿であった。
「諦めてやろう。それほどまでに頼むなら――」
「お、では、つるぎ山踏破のこと、お見合せ下さいますか」
と初めて、ホッとしたらしく答えたのは、阿波守、三位卿などとともに、昨年大阪表の安治川から、卍丸でこの阿波の国元へ帰っている森啓之助なのである。
あの時、森啓之助は、脇船の底に一個の長持を積んで阿波へ帰った筈だ。その長持の中には、たしかに、川長のお米が隠してあった筈――。