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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
線上閱讀内藤 鳴雪《鳴雪自叙伝(めいせつじじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,693 字 · 377 頁
御心底は察し入るから、朝廷へは十分にお取成をしましょうというような、個人としての丁寧なる挨拶をした。これも我々松山人には聞伝えて頗る好感を与えた。なお前藩主勝成公もこの際堅田総督に面会されて、伜定昭事不束を致して恐入る、よろしく朝廷向のお取成をという挨拶をせられたが、これは朝敵となられたわけでもなく、従四位少将はそのままでいられるのだから、それ相当の態度を以て応接せられたのである。
かく我藩も恭順を表せられた上は、藩士内に党派などがあっては土州長州へ対して聞えも宜しからぬと、去年責罰された家老初めも総てそれを赦されて、あるいは役付をする事にもなった。そこで私の父は勘定奉行といって、財政の主任になった。また私も再び小姓を申付けられて、今度は前藩主勝成公の側付となった。つまらぬ事だが、私は小姓の再勤であるにもかかわらず、今度は総ての人の末席となった。それは父たる君公の側付の小姓が子たる君公の側付となれば、前の座席をそのまま持込むのであるが、子たる君公の側付が父たる君公の側付となれば、再勤と否とにかかわらず皆末席となるのが慣例なのである。そこで私は遥か後に小姓となった者よりも下に付いて働くことが何だか口惜しいように思った。