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めいせつじじょでん

鳴雪自叙伝

内藤 鳴雪

線上閱讀内藤 鳴雪《鳴雪自叙伝(めいせつじじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,693 字 · 377 頁

青空文庫

そうして男のくせに私は雛が大変好きであった。私の内には祖母が二人、それに継母が居たので、いくつかの雛を持っていた。私は節句になると、小さな雛などを買ってもらって立てた。よそへ行って雛の小さな膳で物を食べてみる事もあった。私の内には雛の膳が無かった。これを私は大変に残念に思った。江戸住いになる時に国許で売払ったのだと聞いた。

寄席へも私はたまに行った。産土神の春日の社の境内に、一つ寄席があった。維新後は薩摩ッ原に移って春日亭といった。あそこで蝶之助という独楽まわしを感心して見たことがあった。義太夫は飯倉の土器坂へ一度聞きに行った。文句はよくわからなかったが、千両幟の櫓太鼓の曲弾を子供ながら面白く感じた。

子供の時の記憶で最も驚いたのは、安政の大地震であった。それは夜の四ツ時で、私はもう眠っていた。私は人に抱かれて外に出た。そして今大地震があったという事を聞いた。それは十月のことで、寝巻のままでは風邪を引くから、一度内に這入って着物を着て、更に外に出た。見ると屋敷から東北は一面の大火事で、空が真赤であった。幸に私の住んでた中屋敷の方は、地盤が堅固なので、唯長家の端が少し倒れたのみで、それも怪我人は出さなかった。