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まど
鷹野つぎ――人と文学
鷹野 つぎ
線上閱讀鷹野 つぎ《鷹野つぎ――人と文学(まど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,840 字 · 43 頁
親切な若い附添婦が私の子供を、いたわり可愛がってくれるのがその頃の私の病苦の何よりの薬療であった。
転室した日は仲春の爽やかな昼すぎで、新らしく定められたそこの二階の私のベッドには、南の窓が開けていた。重病室と呼ばれたもとの子供と一緒の室では、思いも及ばなかった明るさと清々しい大気が通うていた。歩行のまだ充分でなかった私は、附添婦に小脇を拘えられつつ、床頭台に彼岸桜のやや花びらを散らした花瓶の置かれた、新らしいベッドに近づいた。
子供の急変に、院長、主任医師、看護婦たちの駈けつけたあの三月末の真夜の思いが、今この日に続いていたとは、わけもなく私に意外であった。死別後は私の容態も増悪し、一か月近くを同じ重病室に過したが、その間、誰れ一人死児のことを口にしてくれなかったのも、ふるえ上る私の傷みにはおもいやりのある好意であった。
新らしく対った南の窓からは、武蔵野の一郭を蓋う空がゆるやかな弧を描いて、彼方の街路の端れに消えていた。まず視界の八分は空であった。あとの二分を俯瞰すると、前方が中庭をはさんで並行した別の病棟で、西方に渡廊下をもって右折して続いた医務室などの建物があり、東方には病院の裏門が眼近に迫っていた。