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こうとう
黄灯
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《黄灯(こうとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,262 字 · 21 頁
暗い中から冷たい風が吹いて来た。主翁は肩のあたりで呼吸をした。しかし、別に怪しい物もいそうにないので、やっと安心して雨戸を外すつもりで外へ出た。
「豆腐屋さん」
不意に人声がしたので主翁はびっくりして、動悸をさしながら透して見た。学生のマントを着た少年が眼の前に立っていた。
「昨夜は遅く気の毒でした」
それは昨夜豆腐の注文に着た桐島の書生であった。
「おや、桐島さんの書生さんですか」
「ああ、桐島だがね、今日、また沢山注文するから、ちょっとこれから、お邸までいっしょに往ってくれないかね」
主翁はすぐ曲り角の電柱が気になったが、そのうちに夜が明けてくるだろうと思ったので、往って好いと思った。
「朝早くから気の毒だが、ちょっと往ってくれないかね」
「まいりましょう」そう云って主翁は内の方をふり返って、
「おい、桐島さんから、御用があると云うから、ちょっと往ってくるぜ」
家の中から女房の返事が聞えて来た。
「じゃまいりましょう、それにしても、ばかに早いじゃありませんか」
「殿様が御病気だから、家の者は皆寝ずにいるのだ、だから、宵も朝も無くなっているのだ」
二人はいっしょに歩きだした。