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おうごんひょう

黄金豹/妖人ゴング

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《黄金豹/妖人ゴング(おうごんひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 153,404 字 · 307 頁

青空文庫

巨人はもう池の上に顔を出したのでしょう。でなければ、水の中では笑うことができません。

そのとき、俊一君のおとうさんの花崎検事は、洋室の書斎で本を読んでいましたが、検事の耳にも、あのぶきみな音が聞こえてきたのです。花崎さんは、びっくりして、いすから立ちあがると、窓をひらいて外をながめました。

すると、庭のほうから、まっさおになった俊一君が、かけてくるのが見えました。なにか恐ろしいものに、追っかけられてでもいるように、死にものぐるいで走ってくるのです。

「おい、俊一、どうしたんだ。なにかあったのか!」

声をかけますと、俊一君は、おとうさんの顔を見て、助けをもとめるように、いっそう足をはやめて、窓の下にかけつけ、両手をひろげて、窓わくにとびつこうとしました。

そのようすが、だれかに追っかけられて、入口からまわっていては、まにあわないというように見えましたので、花崎検事も、いそいで両手をのばして、俊一君をひっぱりあげ、窓から書斎の中にいれて、ピシャリと、ガラス戸をしめました。

「おまえの顔色は、まるで、死人のようだぞ。いったい、なにがあったんだ? けんかでもしたのか?」