輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

こくてん

黒点

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《黒点(こくてん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,665 字 · 62 頁

青空文庫

二番目の兄の啓次は山本屋に住み込んでいた。一番上の姉のお花は洲崎の女郎になっていた。二番目の姉のお新はカフェーに通っていた。三番目の姉は早く死んだ。家に始終一緒にいるのは私と妹のお三代だけだった。ところが、お花も啓次も殆んど家に寄りつかなかった。だけならまだいいけれど洲崎はともかくとして、山本屋へもカフェーへも私は行くことが出来なかった。父母でさえ逢いに行けなかったので、私は猶更厳重に禁ぜられていた。

そのことが私には全く腑に落ちなかった。子供心にも不正とさえ思われた。親兄弟が逢いに行くのを禁ずるなどと、そんな道理があるわけはなかった。――今でも私は、啓次やお新にこの点で怨みを含んでいる。世の中に対して怨みを含んでいる。

そこで私は子供心の反抗心から、不意にお新のカフェーへ押しかけてやろうと思ったのである。山本屋へ行ったってつまらないが、カフェーは華かな別世界のような気がした。それも一二度連れてって貰ったことのある、硝子に紙のはってあるバーや外部から見通しの呉服屋の食堂と違って、お新の出てる神田のバーは、二階がレストーランになってるごくハイカラな大きなものだった。