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くろねことみ

黒猫十三

大倉 燁子

線上閱讀大倉 燁子《黒猫十三(くろねことみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,366 字 · 29 頁

青空文庫

――」と弁解らしく云った。

「私に運転させてよ」

彼女は運転台に飛び乗り、宮岡警部をルームの方へ追いやって、自分でハンドルを握った。

「十三子さん、豪いですね」と本庄は感心した。宮岡警部は苦笑して、

「男手で育てるとお転婆になって困るよ。女らしい教育が出来ないから。――」

そんな事を話しているうちに、丸ノ内アパートへ着いた。

事務所には本庄の顔を知っている小使はいなかった。合鍵を貸せと云うと変な顔をして、

「辰馬さんはお部屋に在らっしゃるはずです。先刻まで食堂で、お友達とビールを飲んでいましたよ」と云ったが、別に怪しみもせずに直ぐ合鍵を貸してくれた。

本庄は宮岡警部の命令に従って、自動車を人通りのない裏門へ廻し、車内に入って待っていた。

暫時すると十三が馳け出して来て、いきなり本庄の手を握り、しなやかな体をすりつけるようにして、耳元に唇を寄せ、

「肝心の書類は銀行の金庫に納ってあるんですとさ。――これから皆で銀行へ行くのよ」

生温い息が耳にくすぐったかった。

本庄は帽子を眼深に被り助手台に腰を掛けていると、どうやら自分も探偵小説中の一役を買っているようで愉快だった。