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くろねことみ

黒猫十三

大倉 燁子

線上閱讀大倉 燁子《黒猫十三(くろねことみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,366 字 · 29 頁

青空文庫

辰馬は目をむいて、

「君、何云ってるんだ」本庄はどぎまぎしながら、

「だって、例の一件だなんて云うから。――」

「賭場の一件さ。あの弱味につけ込まれたんだよ」

「ああそうか、なあんだ」

「あれを種に脅迫しやがったんだ。アパートに最初やって来てね」

聞いている彼は冷汗を流した。心臓の鼓動が耳に騒々しく聞えた。

「辰馬君、新聞に出ていた通りかね? 黒猫トミーッて、どんな女だ?」

辰馬は鼻の先に小皺を寄せて、フフンと笑った。

「佳い女だぜ。俺が金は持ち合せていないッて云ったら、銀行の金庫にあるわよッて、あの女ピストルを突きつけやがった。好い度胸だぜ。自動車に乗せて俺を銀行に連れて行ったが、手配中の宮岡警部が来てくれたんで助かった」

「君はトミーを知ってたんだろう?」

「知ってるもんか。泥棒じゃないか。いくら俺が物好きだって、あんな凄い女は真平だ。情夫の方がぺこぺこして、女に使われていたぜ。奴さん、宮岡警部に写真酷似に変装してやがった。二人宮岡警部が出来ちゃって、どっちが真物だか分らなかった。そのために遂々捕え損ったんだそうだよ」と辰馬は笑った。

まんまと欺かれ、手先に使われたのかと思うと腹が立ったが、何故か本庄は心から彼等を憎む気にはなれなかった。