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あたまでっかち

あたまでっかち

下村 千秋

線上閱讀下村 千秋《あたまでっかち》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 頁

青空文庫

それは、しろ公を、例の「さっぱ船」にのせ、自分が船をこいで、とうとうおっかさんのお里まで、入江を渡ってしまったのです。

お里のおばあさんもそれにはびっくりして、

「まあ、林太郎は、ほんとうにひとりで船をこいできたのかい。」

と、なんべんも聞きました。

林太郎は、さすがに少し顔色も変わっていましたが、元気よく、

「おれ、ひとりじゃないよ。しろ公とふたりだよ。」と答えて、「おっかさんをむかいにきたんだよ。おっかさんはどこにいるの?」と、聞きました。

おばあさんは、これは困ったことになったぞ、という顔をしていましたが、

「おっかさんはな、まだからだがよくならないので、土浦の病院へいってるのだよ。よくなって退院したら、じき林太郎のとこへかえしてやるから、きょうはがまんして帰っておくれ。」

と、やさしくいいきかせました。

林太郎は、くちびるをくいしばって聞いていましたが、

「うん。」

と、ひとこと答えたきりでした。

さてその日、林太郎はしろ公をつれて、土浦の病院までおっかさんをたずねていこうと決心しました。土浦までは霞ガ浦のふちをぐるりと回って、五里ちかくあります。おとなは自転車で一日に往復しましたが、やっと十一才の林太郎が、それも小さな足でぽつぽつ歩いて、まだ一度も歩いたことのない道をいこうというのですから、それはずいぶんの