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あるおとことうしのはなし
ある男と牛の話
小川 未明
線上閱讀小川 未明《ある男と牛の話(あるおとことうしのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,281 字 · 5 頁
さすがに、男も、心のうちでは、無理をさせていると思ったので、そのうえひどいことはできなかったばかりでなく、またそのかいがなかったからです。
それに、真夏のことであって、いつ牛が途の上で倒れまいものでもないと思ったから、よけいに心配もしたのでした。
街道の中ほどに掛け茶屋があって、そこでは、いつも、うまそうな餡ころもちを造って、店に並べておきました。男は、酒呑みで、餡ころもちはほしくなかったが、牛が、たいそうそれを好きだということを聞いていましたから、やがて、その家の前へさしかかると、
「どうか、この荷物を無事に先方へ届けてくれ。そうすれば帰りに餡ころもちを買ってやるぞ。」と、男は、牛にいったのであります。
その言葉が牛にわかったものか、牛は重そうな足どりを精いっぱいに早めました。そして、その日の午後、町の目的地へ着くことができたのであります。
男は、そこで賃金を、いつもよりはよけいにもらいました。心のうちでほくほく喜びながら、牛にも水をやり、自分も休んでから、帰りに着いたのでした。
「牛もたいそうだし、自分も骨だが、多く積んで積めないことはないものだ。