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あるおとことうしのはなし
ある男と牛の話
小川 未明
線上閱讀小川 未明《ある男と牛の話(あるおとことうしのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,281 字 · 5 頁
すこしこうして勉強をすれば、こんなによけいにお金がもらえるじゃないか……。」と、手綱を引いて歩きながら考えました。
町を出てから、田舎道にさしかかったところに居酒屋がありました。そこまでくると、男は、牛を前の柳の木につないで、店の中へはいりました。彼は、有り合いの肴でいっぱいやったのでありました。そして、いい機嫌になって、そこから出たのであります。
その間、牛は、居眠りをして、じっと待っていました。牛は疲れていたのです。赤々として、太陽は、西の空へ傾きかけて、雲がもくりもくりと野原の上の空にわいていました。
男は、牛を引いて、やがて餡ころもちを売っている店の前へかかりますと、その時分から、ゴロゴロと雷が鳴りはじめました。
「あ、夕立がきそうになった。ぐずぐずしているとぬれてしまうから、今日は我慢をしてくれな。明日は、きっと餡ころもちを買ってやるから。」と、男は牛にいいました。
牛は、黙って、下を向いて歩いていました。男は、けっしてうそをいうつもりはなかったのでしょう。すくなくも哀れな牛にはそう信じられたのでした。
明くる日も男は、昨日と同じほどの重い荷を引かせたのです。