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いなか、の、じけん

いなか、の、じけん

夢野 久作

線上閱讀夢野 久作《いなか、の、じけん》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 39,535 字 · 78 頁

青空文庫

「フーム。それは又何故か」

「その爺は暫く私の顔を見ておりましたが……それじゃあお前は、その二ツの赤玉を、いつ飲んだんか……と云ううちにブルブル震え出した様子なので、私も気味が悪くなりまして……ナニ赤玉には違いないが、青い黴の生えた奴を、昨夜十二時過に白湯で呑んだんだ。そのおかげで今朝はこの通り熱がとれたんだが、それがどうしたんか……とききますと医者の爺はホッとしたようすで……それは運が強かった。青い黴が生えていたんで、薬の利き目が弱っていたに違いない。あの赤玉の一粒に使ってある熱さましは、人間に使う分量の何層倍にも当るのだから、もし本当に利いたら心臓がシビレて死んで終う筈だ……どっちにしても今酒を呑むのはケンノンだから止めろと云って、私の手を押えました」

「フーム。そんなもんかな」

「この話をきくと私は、すぐに納屋を出まして坑へ降りて、仕事をしている兼を探し出して、うしろから脳天を喰らわしてやりました。そうして旦那の処へ御厄介を願いに来ましたので……逃げも隠れも致しません。ヘエ……」

「フーム。しかしわからんナ。どうも……その兼をやっつけた理由が……」