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おせん
おせん
邦枝 完二
線上閱讀邦枝 完二《おせん》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 74,074 字 · 148 頁
」
「浜町。そりゃァこの雨に、大抵じゃあるまい。お前さんがわざわざ行かないでも、ちょいと一言聞いてれば、いつでもうちの小僧に買いにやってあげたものを」
「有難うはござんすが、親に服ませるお薬を人様にお願い申しましては、お稲荷様の罰が当ります」
「成る程、成る程、相変らずの親孝行だの」
徳太郎はそういって、ごくりと一つ固唾を飲んだ。
五
当代の人気役者宗十郎に似ていると、太鼓持の誰かに一度いわれたのが、無上に機嫌をよくしたものか、のほほんと納まった色男振りは、見る程の者をして、ことごとく虫ずの走る思いをさせずにはおかないくらい、気障気たっぷりの若旦那徳太郎ではあったが、親孝行の話を切ッかけに、あらたまっておせんを見詰めたその眼には、いつもと違った真剣な心持が不思議に根強く現れていた。
「お前さんは、これから何か、急な御用がお有かの」
「あい、肝腎のお見世の方を、脱けて来たのでござんすから、一刻も速く帰りませぬと、お母さんにいらぬ心配をかけますし、それに、折角のお客様にも、申訳がござんせぬ」
「お客の心配は、別にいりゃァすまいがの。しかし、お母さんといわれて見ると。