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くろがねてんぐ

くろがね天狗

海野 十三

線上閱讀海野 十三《くろがね天狗(くろがねてんぐ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,616 字 · 18 頁

青空文庫

もし、半之丞さま、どうなすったのでござりまするか」

虎松は思いがけない半之丞に巡りあって、殺人鬼と権四郎の果し合いなど問題ではなくなった。半之丞は一向手応えがない、黙として、風のように抜けてゆく。と、それと同じように、黒装束の殺人鬼もヒラリヒラリと大通を向うへ走りゆく。

「権四郎、覚悟しろ!」

と、軒下なる半之丞と思われる人物は始めて口を開いて、呪わしい言葉を街上の勇士に抛げつけた。その途端に黒装束の怪人の大刀が電光のようにピカリと一閃して、――。

「うわーッ。うーむ――」

と、魂切る悲鳴が起った。声の主は権四郎だった。白刃をポロリと地上に墜すと体を絞り手拭のようにねじって、両手を代り代りに伸ばしては虚空をつかむと見えたが、やがて、ズドーンと地上に転落した。

「思い知ったか、権四郎!」

と軒端の半之丞は、遠くから呪いの言葉を吐いた。虎松はこの場の不可解な情景に立ち竦んだまま。

「大願成就だ。――ここらで引揚げよう」

と云った半之丞が、何気なく背後をふりかえって、そこで虎松とバッタリ顔を合わせて、ギョッとした。

「おお、虎松。――お前に教えとくが、この後こんな場に必ず出てはならぬぞ。