輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
さるすべり
さるすべり
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《さるすべり》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,095 字 · 24 頁
五
五
夜襲はなかった、しかし朝になってみると敵はずっと前進し、城の南から南東へかけて半円の陣を布いていた。そしてときどき銃隊が前へ散開しては射撃をはじめた、前日から吹きやまぬ南風は土埃と硝煙を巻きあげ、敵陣に立っている夥しい旗さし物はまるでひき千切れそうにはためいていた。城兵がなりをひそめているので、敵の銃隊は大胆に前へ前へと進みだし、一隊は大手前へまわりこんで来た。……縦横に疾駆する伝騎、だあん! だあん! と丘々にこだまする銃声、吹き荒れる烈風、これらがいっしょになって、城のまわりはようやく戦場の様相を示しはじめた。「北目へ使者をやりましょうか」多紀勘兵衛がたずねた。そのときかれらは天守の上にいた。治部介を中にして、半沢市十郎と比野五郎兵衛がいっしょだった。そしてさっきから同じ言葉が二度も三度も、市十郎と五郎兵衛から出た、治部介はしかし黙って首を横に振るばかりだった、勘兵衛はがまんをきらした、「いま出さなければ、もはや使者は出せなくなると存じます」「下へおりよう」治部介はふりかえって云った。「五郎兵衛、みんなを櫓下へ集めてくれ」
五郎兵衛はさきに馳けおりて、全士を本丸の櫓下へ呼び集めた、みんな甲胄具足を着け、すっかり武装をととのえていた、治部介は鎧直垂のまま出て来て、ずっと見まわしながらよくとおる声で