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しいたげられたてんさい
しいたげられた天才
小川 未明
線上閱讀小川 未明《しいたげられた天才(しいたげられたてんさい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,087 字 · 9 頁
また、雲までが、慕い寄るように、頭をたれるのでした。
「なるほど、いい音が出るのう。しかし、おまえは、不思議な子だ。やっと歩くような小さなときから、あめ屋の太鼓が好きで、その後を追って、迷い子になったことがあるし、水車場のそばを通れば、じっと立ちどまって、車の鳴る音に耳をすましたものだ。生まれつき、なんでも音が好きなのだ。だれから教わらなくても、こうして、木琴を鳴らせば、いい音色が出るじゃないか。ひとつ、学校の先生のところへいって、どうしたら、上達するか、お話をうかがったらいいぞ。」と、おじいさんは、秀吉の鳴らす、木琴を感心して聞き、たばこをすいながらいいました。
「先生に、聞けば、おれが音楽家になれるかどうか、わかるかい。」と、秀吉は、せきこんで、聞きました。
「学校の先生は、オルガンでもピアノでも、なんでも弾きなさるぞ。わからしゃらなくて、どうする。」と、おじいさんは答えました。
山へいくときと、反対に道をいって、隣村にさしかかろうとする峠に立つと、あたりに、目をさえぎるなにものもなくて、見晴らしが開けるのでした。盛夏でも、白雪をいただく剣ガ嶺は、青い山々の間から、夕日をうしろに、のぞいていました。