輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《ちくしょう谷(ちくしょうだに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 69,788 字 · 138 頁
彼はするどい苦痛を抑えるかのように、唇をひきしめ、眉をしかめた。赭くしらちゃけたあら土に、小さな標を立てただけの、それらの墓のぬしは「罪人」であった。その墓地の蕭殺たる眺めが、そんなにもするどく彼の心を撃ったのは、かれらが「罪人であった」という理由からであるかもしれない。罪を犯して捕われるような者は、たいてい気が弱く、めはしもきかず、孤独な人間のようである。隼人はいまその墓土の下から、かれらの嘆きの声が聞えてくるように思い、眼をつむってじっとうなだれていた。
まもなく「あの」と呼びかける者があった。眼をあいて振返ると、あやという娘が、墓地の端に立っていた。
「あの――」と娘は赤くなりながら云った、「正内さまが待って」
そう云いかけたが、突然、口を大きくあいて叫びながら、つぶてのように走って来て、隼人に躰当りをくれた。隼人は娘の躯を受けとめてよろめき、同時に、うしろから斜めに、空を切ってなにかが飛んで来、二十尺ほど向うの墓土に突き立つのを見た。糸がはしったようにみえたが、墓土に突き立ったのは矢であった。
「危ない」娘はけんめいに隼人を押しやった、「先生、危ない、権八です」