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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
線上閱讀大阪 圭吉《とむらい機関車(とむらいきかんしゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 頁
大月氏は黙って頷くと、そのまま草を踏付けるようにしながら、小さな燈をたよりに山肌を下りて行った。が、やがてふと立止った。
「夏山さん……生れて、二つになって、第一回の誕生日が来る。三つになって、第二回の誕生日が来る……そうだ、今年十七の人なら、十六回の誕生日ですよ」
「えッ、なに?」
警部補が思わず振返った。
「夏山さん……十七回の誕生日なら、ナイフの主は十八ですよ」
「十八?……」と警部補は、暫く放心したように立竦んでいたが、直ぐに周章ててポケットからノートをとり出し、顫える手でひろげると、「いやどうも面目ない。全くその通りですよ。それに……ちゃんと十八の娘があるんです」
「誰です、それは?」
「女中の敏やです!」
恰度この時、警官の懐中電燈に照らされて、山肌の一寸平らなところに、ほぐくれたような大きな痕がみつかった。
「あそこでもんどり打ったんだな。自動車が……」
大月氏が叫んだ。
「もう直ぐだ。急ぎましょう」
人々は無言でさまよいはじめた。このあたりから、茨や名も知らぬ灌木が、雑草の中に混りはじめた。やがて大月氏が枯れかかった灌木の蔭で、転っていたクーペの予備車輪を拾いあげた。