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どらねこかんさつき
どら猫観察記
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《どら猫観察記(どらねこかんさつき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,670 字 · 12 頁
一
一
瑞西に住む友人の家では、或日語学の教師の老婦人が、変な泣顔をして遣って来たそうである。市の蓄犬税が三割とか、引上げられるという際であった。私たちの生活では、とても今度のような税は払うことが出来ません。是迄は無理をして育てて居たけれども、もう仕方が無いから今朝役所へ連れて行きましたと謂って、又大いに涙をこぼしたそうである。
役所というのは犬殺し局のことであった。税を払わぬ犬は東京などとは違って、一匹だって存在し得る余地が無いのである。仮に殺さぬことにしたならば街頭に沢山、餓死した犬を見掛けねばならぬ。野ら犬という言葉がもう一寸説明の六つかしい迄に、犬の文明も進んで居るのであるが、それにしてはジュネェブなどには、町で見かける犬の数が多かった。
一人者が犬を飼って居る例が多い。犬と話をして居る老人などをよく見ることがあった。五階三階の窓から顔を出して、吠えもせずに通行人を眺めて居る犬を、幾らも見るような社会であった。雨の晴間などに大急ぎで、犬の為に散歩をして遣るという実状である。たまたま一人で外出した時などは、まごまごとして入口で待って居るのが、殊にふびんに思われると謂って居る。