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ひょっとこ

ひょっとこ

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《ひょっとこ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,838 字 · 12 頁

青空文庫

などと勝手な事を云ってすましている。

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しかし平吉が酒をのむのは、当人の云うように生理的に必要があるばかりではない。心理的にも、飲まずにはいられないのである。何故かと云うと、酒さえのめば気が大きくなって、何となく誰の前でも遠慮が入らないような心持ちになる。踊りたければ踊る。眠たければ眠る。誰もそれを咎める者はない。平吉には、何よりも之が難有いのである。何故これが難有いか。それは自分にもわからない。

平吉はただ酔うと、自分がまったく、別人になると云う事を知っている。勿論、馬鹿踊を踊ったあとで、しらふになってから、「昨夜は御盛んでしたな」と云われると、すっかりてれてしまって、「どうも酔ぱらうとだらしはありませんでね。何をどうしたんだか、今朝になってみると、まるで夢のような始末で」と月並な嘘を云っているが、実は踊ったのも、眠てしまったのも、いまだにちゃんと覚えている。そうして、その記憶に残っている自分と今日の自分と比較すると、どうしても同じ人間だとは思われない。それなら、どっちの平吉がほんとうの平吉かと云うと、これも彼には、判然とわからない。