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むかでのあしおと
むかでの跫音
大倉 燁子
線上閱讀大倉 燁子《むかでの跫音(むかでのあしおと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,542 字 · 23 頁
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福知山から三田行に乗り換えた時には、もう汽車の中にまで夕闇が迫っていた。
園部の新生寺の住職――それは亡夫の伯父なのだ――が急死したという電報を受取ると直ぐ東京から馳けつけて来て、この三日間というもの、通夜だ、葬式だ、とおちおち眠る暇もなかった。亡夫側の親類や知人ばかり集っている中で、気兼しながら暮したので、日数は僅だが、すっかり疲労れてしまい、帰りの列車に乗り込んで、やっと自分一人きりになったと思うと気が弛んだせいだろうか、急に睡眠を催してきた。
小さい駅を通過した時、車体の動揺にふと目が覚めた。するといつの間にか向い合せの座席に、モーニングを着た長髪の紳士が腰かけている。居眠りしていたのを見られたかと思うとちょっと耻しい気がした。というのは全くの見ず知らずではなかったからだ。新生寺に滞在中この人と私は毎日のように顔を見合せていたので、別段改って紹介はされなかったが、お互に黙礼位は仕合うようになっていた。彼は有名な天光教の総務で、また学者としても世間に知られていた。神主さんのような人と、坊さんの伯父との間に、生前どんな親交があったか知らないが、とにかくその死が不自然な自殺であったし、撰んだ最後の場所が天光教の奥書院だったという、ただそれだけの理由で、伯父側の人々は彼に対して非常な反感を懐いていたの