輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ろまんどうろう

ろまん灯籠

太宰 治

線上閱讀太宰 治《ろまん灯籠(ろまんどうろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 37,222 字 · 74 頁

青空文庫

ここへ来て、もう四年にもなるので、家族のロマンチックの気風にすっかり同化している。令嬢たちから婦人雑誌を借りて、仕事のひまひまに読んでいる。昔の仇討ち物語を、最も興奮して読んでいる。女は操が第一、という言葉も、たまらなく好きである。命をかけても守って見せると、ひとりでこっそり緊張している。柳行李の中に、長女からもらった銀のペーパーナイフを蔵してある。懐剣のつもりなのである。色は浅黒いけれど、小さく引きしまった顔である。身なりも清潔に、きちんとしている。左の足が少し悪く、こころもち引きずって歩く様子も、かえって可憐である。入江の家族全部を、神さまか何かのように尊敬している。れいの祖父の銀貨勲章をも、眼がくらむ程に、もったいなく感じている。長女ほどの学者は世界中にいない、次女ほどの美人も世界中にいない、と固く信じている。けれども、とりわけ、病身の次男を、死ぬほど好いている。あんな綺麗な御主人のお伴をして仇討ちに出かけたら、どんなに楽しいだろう。今は、昔のように仇討ちの旅というものが無いから、つまらない、などと馬鹿な事を考えている。

いま、さとは次男の枕元に、お膳をうやうやしく置いて、少し淋しい。