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エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ

エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説(エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,570 字 · 72 頁

青空文庫

又同じことがBに就いても云い得られる。故に直線運動は単に可能的である。次に直線運動は相対運動であるから、如何なる直線運動も絶対運動ではない。もし仮にそれが絶対運動であるとすれば、それは他物質又は他の相対空間への関係なくしてもそれ自身に在る処の運動でなければならぬ、即ち絶対空間に干与しての運動でなければならぬ筈である。けれども吾々は絶対空間を経験の対象とすることは出来ない。それ故経験判断に於て直線運動を絶対運動として述語することは不可能である。次に直線運動とは運動の外的原因が存在しない場合に外ならぬから、それは運動力を顧慮することなくして決定し得られるものである。然るに運動の運動力を顧慮しないということは正に運動の運動学的規定を取り扱うことに外ならなかった。故にこの場合に於ける運動の様相――可能性――は運動学に準じて決定されるとカントは云う。即ち運動を現象として論じる運動学の運動は可能的である。

第二に、物体が運動する時、惰性の法則から明らかであるように、自分でその方向を変化することはあり得ない。もし方向が変化するとすれば、そこには方向を変化せしめる外的原因がなければならぬ筈である。