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オンチ
オンチ
夢野 久作
線上閱讀夢野 久作《オンチ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,673 字 · 42 頁
「まだ疑っているのかい。タッタ今、自分で犯人だって事を自白したじゃねえか」
「……フーム……」
「又野君……」
「……………」
「今夜、俺と一所に来てくれるかい」
「どこへ……」
三好の眼鏡が場内の電燈を反射してキラリと光った。命令するように云った。
「どこへでもいいから一所に来てくれ。六時のボーが鳴ったら俺が迎えに行く。俺一人じゃ出来ねえ仕事だかんな」
又野が黙って腕を組み直して考え込んだ。三好が冷然と見上げ見下した。
「嫌になったのかい。それとも怖くなったんかい……」
「ヨシッ……行く……」
「きっとだよ」
「間違いない」
「大仕事になるかも知れないよ」
「わかっとる」
「生命がけの仕事になるかも……」
「ハハハ。わかっとるチウタラ……」
五
星浦製鉄所はさながらの不夜城であった。鎔鉱炉、平炉から流れ出すドロドロの鉄の火の滝。ベセマー炉から中空に吹上げる火の粉と、高熱瓦斯の大光焔。入れ代り立代り開く大汽鑵の焚口。移動する白熱の大鉄塊。大坩堝の光明等々々が、無数の煙突から吐出す黄烟、黒烟に眼も眩むばかりに反映して、羅馬の滅亡の名画も及ばぬ偉観、壮観を浮き出させている。