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クリティシズムとにんしきろんとのかんけい

クリティシズムと認識論との関係

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《クリティシズムと認識論との関係(クリティシズムとにんしきろんとのかんけい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,091 字 · 50 頁

青空文庫

そしてそれにはそれだけの理由があるので、サント・ブーヴは印象批評の巨頭であるとされるに拘らず、彼が芸術作品に於て見たものが常に人格の表現であり、つまりさっきのことを勘定に入れれば、人間による認識をばそこに常に見て取ったのだが、こうした理論が彼のクリティシズムの匿された枢軸をなしている。第一印象は後々の又二次的な印象によって変更を余儀なくされるものであるから、批評がこの枢軸の周りを動揺することは避け難い。動揺は心棒のないことから起きるのではなくて、心棒の周りから起きる。云わばこの匿された枢軸の故に、彼は優れた印象批評家ともなり得たわけだ。

だが今は、クリティシズムの実行の姿よりも、クリティシズムという観念自身が何かということが問題であったのだから、一種の認識の検討であるというクリティシズムの枢軸は、そういう批評精神は、特に自覚されねばならず、表面に持ち出されねばならぬ。そこにクリティシズムは認識=認識物の検討であると云わねばならぬ必要が生じて来る。するとクリティシズムはそれ自身が一種の認識論的活動であるということになる。或いは少なくとも、一種の認識論を枢軸としない限り、充分の自覚を伴ったクリティシズムであるとは云えない、ということになるのである。