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クリティシズムとにんしきろんとのかんけい

クリティシズムと認識論との関係

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《クリティシズムと認識論との関係(クリティシズムとにんしきろんとのかんけい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,091 字 · 50 頁

青空文庫

せねばならぬ。即ち批評は文化史となり又文明批評となるばかりでなく、まず文化諸領域間や芸術諸ジャンル間の認識論的処理に於て、際立った眼光を養わねばならない。批評的な感覚というものがあるなら、正にこの種の眼光のことであり、それが感受を鋭くし正確にし、そこから導かれる反省を敏活にし確実にする。勤勉な歴史家が屡々最も鈍感な批評家であるのは、この批評的感覚の勘を欠くからで、批評に絶対欠くべからざる教養も之を伴わずにはもはや役に立たない認識論的な分析官能というようなものが批評の最後のことを決定する。それが媒介の官能である。

クリティシズムは常識として、個々一定の文化作品を以て自分の自然な母胎とするにも拘らず、それとの間隙と距離と対立とを発条として、この母胎を離れて一つの独自な秩序界を展開する。一つの作品から他の作品へ、一つの人物から他の人物へ、一つの時代から他の時代へ(そして歴史叙述をば論理的分析から区別するために最も大切な点となるが、――論理は歴史の要約であるとしてもこの区別は大切だ)、一つの芸術ジャンルから他の芸術ジャンルへ、又一つの文化ジャンルから他の文化ジャンルへ、何等かのエッセンスを運び歩くのが、クリティシズムというものである。