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『ぐうぞうさいこう』じょげん

ゼエレン・キェルケゴオル

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《ゼエレン・キェルケゴオル(『ぐうぞうさいこう』じょげん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 101,567 字 · 212 頁

青空文庫

足を手と同じように使う点においては彼は古今独歩である。しかしその名声を慕ってその門に入る人があればそれはばかだ。この足の天才はただ一人寂しい道を歩ませておけばよい。デュウゼは足で画くラファエロである。

露都の一夜、なつかしきエレオノラのために狂舞したヘルマン・バアルはかくして世評に対する彼の論理的欲望を充たした。

やがてデュウゼの一身には恐ろしい変化が来た。彼女はもはや情熱の城に立てこもろうとはしない。彼女は若い時の客気にまかせて情熱を使いすぎたのである。並みはずれた感激に対する熱情もようやく醒めて来た。ここにニイチェのいわゆる Die Trene gegen die Vorzeit が萌す。

ついに彼女は偉大なる芸術の伝統に対する Heimweh を起こした。古来の芸術の手法を恋い初めた。かくて彼女は暗い恐ろしい時期に襲われたのである。悩乱、苦悶。香は失せ色は褪せてほとんど狂気になるばかりであった。彼女は己が踏む道の上にあって、十字架を負った人のように烈しくあえいだ。今にも倒れそうな危うい歩きようである。

風聞が伝わった。「彼女病めり。」

彼女はこの時より一層高いある者を慕い初めた。