輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

チェーホフしろん

チェーホフ試論

神西 清

線上閱讀神西 清《チェーホフ試論(チェーホフしろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,618 字 · 41 頁

青空文庫

僕はサガレンという地獄も見たし、セイロンという極楽も見たのだ。……これがモスクワに帰って早々、彼が友人に出した手紙の調子である。この太平楽な諧謔のなかには、ただの非情と言っただけでは済まされない不敵なものがありはしないか。自己革命のためには、サガレンは結局薬が弱すぎたのである。

旅行後二年半ほどして、厖大な報告書『サガレン島』が出来あがった。いわゆる「冷厳なること重罪裁判所の公判記録のごとき」調査資料である。サガレン徒刑の制が布かれてから十五年になっていたが、その実状についてはお役所の文書のほかには一片の報告も現われず、社会の関心は皆無にひとしかった。チェーホフの著書は、この地獄の扉をあけ放した第一書だったわけだ。それはインテリの一部に徒刑囚の取扱改善運動を起させ、ひいては当局の施策にも少からぬ影響を及ぼした。チェーホフは勿論満足だったに違いない。彼自身の言種にしたがえば、「医学部を出て以来の懸案だった学位論文」が、科学にのみならず直接社会に寄与したのである。『死の家の記録』と『サガレン島』の岐れが、ドストエーフスキイとチェーホフの岐れを端的に示すものと言える。