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ピストルのつかいかた

ピストルの使い方

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《ピストルの使い方(ピストルのつかいかた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 39,100 字 · 78 頁

青空文庫

袴の股立を取っている。やあ、盗賊――と近常さんが、さがんなさると、台所から、お媼さんが。――

幕末ごろの推込じゃアあるまいし、袴の股立を取った盗賊もおかしいと、私も思ったんですけれどもさ。その股立が、きょろッとして、それが、慌てて頬被を取ると、へたへたと叩頭をしました。(やあ、大師匠、先生、お婆々様ッ。)さ、……お婆々様は気障だけれども、大層な奉りようなんですとさ。

柴山運八といって、近常さんと同業、錺屋さんだけれども、これは美術家で、そのお父さんというのが以前後藤彫で、近常さんのお師匠さんなんですって。――いまは、その子運八の代で、工場を持って、何とか閣で、大きな処を遣っている。そこの下職人が駆込んだ使いなんです。もっとも見知合いで、不断は、おい、とっさんか、せいぜい近小父、でも、名より、目の方へ、見当をつける若いものが、大師匠、先生は……ちょっと、尋常事ではないでしょう。

大切な事を頼みに来たの。

あの、大博覧会の出品ね――県庁から、この錺職へお声がかりがある位ですもの。美術家の何とか閣が檜舞台へ糶出さない筈はないことよ。

作は大仕掛な、床の間の置物で、……唐草高蒔絵の両柄の車、――曳けばきりきりと動くんです。