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ピストルのつかいかた
ピストルの使い方
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《ピストルの使い方(ピストルのつかいかた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 39,100 字 · 78 頁
「いや、それがね、申しおくれた処へ、今のような真剣の話の中へは、……やくざ過ぎて、言憎い。が、まあ、更めて挨拶しよう。――話をして、それから、その天狗はどうしたね。」
「この山は、どういうものか、雑木林なり、草の中なり、谷陰なり、男がただひとりで居ると、優しい、朗かな声がしたり、衣摺れが聞こえたり、どこからともなく、女が出て来る。円髷もあろうし、島田もあろうし、桃の枝を提げたのも、藤山吹を手折ったのも、また草籠を背負ったのも、茸狩の姉さんかぶりも、それは種々、時々だというけれど、いつも声がして、近づいて姿が見える――とそういうのが、近国にも響いた名所だ。町に別嬪が多くて、山遊びが好な土地柄だろう。果して寝転んでいて、振袖を生捉った。……場所をかえて、もう二三人捉えよう。――(旅のものだ、いつでもというわけには行かない。夜を掛けても女を稼ごう。)――厚かましいわ。蟒に呑まれたそうに、兀頭をさきへ振って、ひょろひょろ丘の奥へ入りました。」
「ただものでない、はてな。」
多津吉は確と腕を拱いた。
「何しろ、これは、今の話の様子だと、――故人が鏨で刻んだという、雪をつかんだ鶏の鳥冠に、旭のさしたのを象徴ったものだ。