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ボニンとうものがたり

ボニン島物語

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《ボニン島物語(ボニンとうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,772 字 · 41 頁

青空文庫

あったのだ。幕府の密事などに聞かれたら、大事になるから、めったに口外せぬつもりでいたが、今日でおれの命も終りになるから、腹を切るまえに、うちあけておく。話はあとでするが、まず、先にこれを読んでくれい」

そういうと、地袋の手箱から「極内不可認」という朱判の据わった、官庫の秘冊をとりだして二人の前に置いた。

駒三郎が手にとって読んだ。こんなことが書いてあった。

八丈島之南三百里程の処に有之候無人島之大体

文禄二年、信濃深志城主彦七郎の子、小笠原貞頼、家康の命を受け、伊豆下田より出船、八丈島の南、三百里の処にて無人の島嶼に行き当り、木標、二カ所に建、「日本国天照皇太神宮宮地、島長源家康公幕下小笠原四位小将民部大輔源貞頼朝臣」とあり

爾来、毎年、同島に赴き、大いに利するところあり

延宝二年、島谷市右衛門ら、無人の島嶼を巡検し、天照皇太神ほか二神を勧請し、「日本内」の木標を建、

享保十二年春、豊前小倉城主小笠原右近将監殿、日本より東南にあたり、無人島あり、五穀自ら実り、林木、花多しと申すなり、実否を糺し申さばやと公儀へ御届けあり、すなはち御免を蒙り、伊勢の国にて大船をつくり、武具、馬具、兵糧等おびただしく積み入れ、小笠原式部と言ふ文武兼備の侍を主将として、都合、百五十人ばかり東南の沖へ乗出しけるが、首尾よく彼の島へ