輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

線上閱讀梅崎 春生《ボロ家の春秋(ボロやのしゅんじゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,411 字 · 263 頁

青空文庫

つまり競争意識というやつなのでしょう。奪い去られるかも知れないという危惧が、一挙に蟹江の情熱をかき立てたに違いありません。今久美子を失えば、自分の人生はもう終りだ。まったくそんな感じなのでした。それにつけても、何はともあれ先ず猿沢に手を引かせること、それが蟹江にとっては第一の問題でした。

『よし』そんなある日蟹江ははっきりと心に決めました。『ひとつ談判して、あいつにすっかり手を引かせてやる』

猿沢が素直に手を引くかどうか。それはいささか疑問でしたが、蟹江はいろいろ考えて、ひとつの切札のようなものを発見していました。それはあの、以前綱渡り娘だったなどと噂されている、猿沢夫人のことでした。

猿沢夫人は痩せぎすの、敏捷そうな身体つきの女性です。顔は美しいけれどもやや険があって、それは牝豹か何かを聯想させました。蟹江はかねてから、この夫人は意地っぱりで嫉妬深い女ではないか、と見当をつけていました。きっと猿沢もこの夫人には頭が上らないに違いない。ねらいどころはそこだ。蟹江が考えついたのはそれです。これを効果的に利用して、猿沢の浮気心を粉砕しなければならぬ。

この蟹江のねらいは、見事に成功したらしいのです。