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マクシム・ゴーリキイのでんき
マクシム・ゴーリキイの伝記
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《マクシム・ゴーリキイの伝記(マクシム・ゴーリキイのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 60,543 字 · 120 頁
その客観的価値を判断し得ないナロードニキの憤怒。十九世紀におけるロシア、世界の歴史の渦はカザンの町はずれの一軒家の中に激しく渦巻いているのであったが、ゴーリキイは、当時の自分の関係を極めて自然発生的に率直にこう書いている。「私は論争を好まない。私はそれをきくことが出来ない。私は昂奮した思想の気まぐれな飛躍を追うことが困難である。そしていつも論争者の自愛心が私を焦立たせる。」
ここでまことに面白いことは、この夜プレハーノフの論文を朗読し、漫罵の代りに本質的な反駁をやることは出来ないかと特に注意した一人の青年フェドセーエフが、喧々囂々の中で苦しそうにしているゴーリキイに目をとめた。彼は云った。
「君は――パン屋のペシコフですか?――僕はフェドセーエフだ。我々は知り合いにならなければならなかったのです。実を云うと――こんなところでは何もすることはない、この騒ぎは――長くて、利益は少いだろう。行きませんか?」
デレンコフ・パン屋の仕事は、益々酷いものとなると同時に、悪いことには段々仕事の意味が失われて来た。ナロードニキの連中は、パン店の仕事の工合をも考えず、麦粉の代さえのこさず、不規律に会計から金を引出して行った。